昨年の秋口にEGRバルブの作動不良によりバルブ自体を交換(詳細はリンク先へ)し、その後は暫く快調に走っていましたが、エラーコード4862の「EGRマスフロー妥当性」が立ち始めました。EGR経路のカーボン詰まりが限度を超えているということですが、エラーをbimmerlinkで消しながらも様子を見てきました。しかし、ここにきてエンジンチェックランプも点灯し始めましたので、重い腰を上げてEGRクーラーとインマニ廻りのカーボン除去をおこなうことにしました。
2015年式のこの車両は、2020年前後にリコールでEGRクーラーの交換がされているはずなのですが(当方購入は2023年7月)、クリーンディーゼルの宿命でどうにも短命ですね。この車両の場合はもって4~5年というところのようです。今後も掃除しながら乗り続けることになりますね。
このEGR経路清掃はお店に頼むと20〜30万というのが相場のようですので『自分でやる』の一択です。。
エンジンチェックランプの点灯が頻発
大したものは必要ありませんが、事前準備物としては下記でしょうか。
■事前準備品:
- EGRクーラー前後ガスケット (11718579364・11618571005)
- EGRクーラー上部冷却水ホースの汎用バンド
- EGRクーラー背面のシリンダーヘッド水通路接合部とのジョイント(11717799853)
- BMW冷却水少々(冷却水は抜かずに済みます。ほとんど漏れません)
- カーボン洗浄剤サンエスメタルクリーンα
■作業内容:総作業時間 1.5days
- エアクリボックス取り外し
- インテークダクト取り外し
- EGRバルブ取り外し
- DMEとDMEケースの取り外し
- T/C~インタークーラー間ターボインテークパイプ取り外し
- インマニ設置の電子部品のカプラー切り離し
- EGRクーラーとインマニ切り離し
- インマニとスロットルバルブ切り離し
- インマニ取り外し
- EGRクーラー取り外し
- EGRクーラー・インマニのカーボン除去
- 上記の逆工程で組み付けて完了
1. 2. エアクリボックス、インテークダクトの取り外し
使用工具:プラスドライバー 6mmソケット マイナスドライバー
難易度:易
ダクトは11のスプリングクリップを引けばワンタッチで外れます。この際、下記12も同時に外してダクトを引き抜きます。
3. EGRバルブ取り外し(詳細はココをご参照ください)
備考:EGRバルブの冷却水ホースバンドをカシメを壊して取り外します
半年強でそれなりのカーボン堆積量
4. DMEとDMEケースの取り外し
備考:次のターボパイプを取り外すために恐らく必要なので外せるものは外します。必ずバッテリーマイナス端子を外してから作業のこと。
5. T/C~インタークーラー間ターボインテークパイプ取り外し
使用工具:マイナスドライバー (パイプ両端のクリップ外し用)
難易度:難
備考:これが今回の作業の中でワースト3に入るもの。すべてが一体物となっているパイプであり、大きな知恵の輪と化す。取り外しと取り付けにはかなり工夫を要する。バンドはステン製だが継ぎ目がなく、外すには切り落とすしかない。部品も一体物として出る。サービス性をまるで考えておらず、ドイツ人の気質を疑う。。
ジャッキアップし、アンダーカバーを外してからインタークーラー入口ジョイントを外す必要あり。
巨大な知恵の輪。簡単には抜けません。冷却水アッパーや周辺の配線等にダメージを与えないように注意しながら。
異様な光景。しかしこのアングルを取らないと抜けませんでした。。
あと少し。
漸く出現。。こんな作り方しないでよ。BMWさん。。
ステンバンドを切ってゴムのダクト部分を切り離せばもっと楽に作業ができるはず。今回はこのまま組みますが。
ASSYでしか部品は出ない図

6. インマニ設置の電子部品のカプラー切り離し
備考:カプラーのストッパーをずらしてからつまんで引き抜く
7. EGRクーラーとインマニ切り離し
画像中央のEGRクーラー出口ガス温度センサーボス内にカーボンがコテコテ付着。このボスから内視鏡を入れてEGRクーラーのつまり状況を目視確認するようである。次回からはそうしてみよう。
8. インマニとスロットルバルブ切り離し
スロットル等は清掃のみでそのままにしておきます。
9. インマニ取り外し
使用工具:10mmソケット・トルクスT25ソケット
難易度:易
備考:インマニはサブタンク側にずらしながら抜くが、配線類はひたすら邪魔をするので慎重に
M8ボルト5本でシリンダーヘッドに固定されています。
取り出したインマニ。
オイリーなカーボンデポジット。想定よりは少ない。オイル消費が悪いのでオイリーなのだと考えます。
EGRアウトレット側はさすがに硬いカーボンデポジット
吸気ポート内部も想定よりはかなり少なめでオイリー。上手く写っていませんがバルブステムへの堆積もそう多くありませんでした。今回はポート内は触らず、合わせ面だけの清掃とします。
#1
#2#3
#4
10. EGRクーラー取り外し
使用工具:T45ソケット・T45レンチ・手鏡
難易度:中難
備考:とにかく狭いため、適切な工具が入らないのでいろいろと工夫が必要。特にEGRクーラー本体下のT45ボルトと奥のエキマニとの連結部のT45ボルトについてはかなり時間を要する。EGRクーラー下ボルトは目視不能なため、手鏡を使って目視しながら工具を入れてゆく必要があります。また、右側の冷却水ホース類が邪魔をするので、紐で吊るなりでしてどかして工具を入れる空間を作っておく必要もあります。
EGRクーラー本体とシリンダーヘッドとはT45ボルト3本でていけつされており、EGRガスインレット側フランジもT45ボルト2本で締結されています。
EGRインレット締結ボルト2本の対応が結構面倒。特に奥のボルトはソケットを入れる隙が無いため、下の画像のようなL字のトルクスレンチが有効。かなりタイトに締まっていますのでそれなりに工夫は必要です。ちなみに、ターボとの間にインシュレータがありますが、EGRクーラー本体にM6ボルトで固定されていますのでこれも忘れずに外しておきます。
摘出したEGRクーラー
出口側。カーボンで詰まりまくっています。。これではガスは流れませんね。
やはりクーラー自体はリコール品。寿命5年でした。。
11. EGRクーラー・インマニのカーボン除去
備考:当方はクリアケースに20Lの熱湯と長年信頼しているメタルクリーンをひと箱入れて混ぜ、ラフにカーボンを手工具で搔き出したインマニとEGRクーラーをどぶ付けします。入れた後には80℃程度に下がっていると想定し、樹脂部品のインマニは40分程度、EGRクーラーは2.5時間浸けました。
あっという間に真っ黒の液体に。。EGRバイパスバルブのアクチュエータが外せなかったので、負圧ホースを指す部分をブラインドして中に洗浄剤が入らないようにして浸けています。
ひと風呂浴びてブラシでゴシゴシ、、最高に綺麗になりました。。
内部も綺麗になりました
コテコテに付いていたドライなカーボンデポジットも一掃できました。
EGRクーラーも目詰まりゼロ。片側から口で吹いても反対側から出てきているのが分かります。
エアブローしてしっかり乾かしてから、ホース類等の組付けて搭載準備完了。ひと風呂浴びて新品のようになりました。。
EGRクーラー本体とシリンダーヘッドとの冷却水連結ジョイント(11717799853)
12. 組付け
使用工具:T20ソケット(EGRバルブモーター駆動部取り外し用)
難易度:易~難
備考:ISTAをお持ちではない方は、EGRバルブをEGRクーラーに取り付ける際にはバルブ先端突きを防止するために、必ずモーター部を取り外して手動で傘を上げた状態で取り付けて下さい。(
ココをご参照ください)
とても綺麗なEGRバルブ取り付け部をとくとご覧あれ
EGRバルブモーターユニットを取り外します。T20×4本。(ガスケットがいい感じで本体に張り付いていたのでそのままとしています)
ギヤを回すと傘を上げることができます。フランジの2本のボルトを締め付けたら傘を着座させ、EGRモーターユニットを組み付けて完了となります。同じEGRバルブを組み付けるのであれば位置学習のリセットは必要ありません。このままボルトオンです。
ついでに、エンジンオイルとフィルターを交換しておきました。
・オイル: 日産純正Clean Diesel OIL 5W-30 C3
・オイルフィルター: BMW純正一択 部品番号11428507683
前回の交換が116,810km@2024年12月28日で、今回が118,816km@2025年5月4日ですので5か月2000kmでの交換となります。
作業完了・・・
試走後、何らエラーは立たず、EGRもまともに動作していることをBimmerlinkのRAM値で確認しました。そして何より極めて軽快に走るようになり、本来のポテンシャルを取り戻したようです。これで後4年は快調に乗れるでしょう。。
※後日追記:その後600kmほど走行しましたが、何ら問題なしで絶好調です
■ご参考まで
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